シャドーイングは,同時通訳養成のための語学訓練方法として開発されたものであるが,音読の重要性が認識されるにともない,語学教育,特に学校教育の現場でも広く取り入れられるようになった。しかし,実際に取り組んでみると,学習者個々の努力に負うところが多いこと,文字に対する依存傾向の強い学習者にとって負荷の高い活動であること,テキストの選択と学習者の熟達度への配慮が難しいなどの理由から,学習者がシャドーイングの技術を身につけるに至らない場合もある。
これまでの実践事例には,Writingにおける読み手の存在同様,音読については聞き手(audience)の存在が重要であり,聞き手の存在は音読に対する意欲を高めると同時に,発表者・聞き手双方の音声認識に対する意識を高めることを示唆する実践事例が多く見られるようになった。これについては音読の活動よりさらに難易度の高いシャドーイングに関しても同様であると考えた。
以上のような視点から,次のような点に配慮し,シャドーイングに取り組んだ。
洋画に関しては,ナレーションやモノローグで,なおかつシーンにBGMが流れており,そのBGMがサウンドトラックCDにあるものを選んだ。学習者は洋画の該当部分のの音声だけを聞きシャドーイングに取り組む。その際のパフォーマンスを録音。洋画の場面から音声データを消去,学習者の声とBGMを重ねた。
CNNに関しては,アンカーがイヤフォンをしている場面を利用。イヤフォンから流れるCNNの音声を聞きながらシャドーイングに取り組んだ。その場面をビデオに収録することでアンカーになりきり,シャドーイングに取り組んだ。
録音やビデオ収録という緊張を増幅する活動であるにも関わらず,ゴールを明確にし,学習者同士でお互いのパフォーマンスを共有できることから,最後までシャドーイングに取り組む学習者の姿勢を顕著に感じ取ることができた。
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