第49回外国語教育メディア学会全国大会(流通科学大学)
2009年8月4日〜6日
コンピュータソフトの音読評価、その妥当性の検証 |
【 概 要 】
音読を聞けば、学習者の熟達度がわかるという経験的な知見から、学習者の音読能力を評価しようとする試みがある。この方法は、録音した音声データ1つ1つを評価するため、時間と労力が非常に大きい。また、信頼性や妥当性を確保した上での評価となっているか確証はない。
鈴木他(2006)ではコンピュータソフトで、学習者の英語音読評価を行った結果、その評価は英語熟達度と中程度の高い相関を示した。さらに、阿久津他(2007)では、複数のテキストを用いたコンピュータソフトの音読評価は、極めて高いα係数を算出し、その信頼性を確認した。しかし、人間の耳による音読能力測定と一致しているのかどうかという妥当性を検証する課題が残った。もし、コンピュータソフトの音読評価が、評価者の評価とある程度一致していれば、その妥当性が検証できる。本研究は、日本人評価者の音読評価と、コンピュータソフトの音読評価を比較し、ソフトウエア評価の妥当性を検証することを目的とする。
研究は、埼玉県内の大学生を対象に実施した。手順は次の通り。
(1)英検準2級2次試験問題を改変した英文を学生に読ませ、ソフトウエアの音読評価結果を算出した。
(2) その直後被験者の音読を録音し、日本人評価者4名が、5つの観点から評価した。評価の観点は、@音読速度 A単語の発音 Bイントネーション Cポーズ Dストレス (AからDは6段階評価)であった。
評価者間信頼係数が.85と極めて高かったため、評価の平均値を使用して、ソフトウエアの音読評価との相関を算出した。評価項目@〜Dの相関係数は、それぞれ.677、.453、.697、.681、.710、(いずれも1%水準で有意)となり、ソフトウエアの音読評価の検証ができた。当日は今回のデータを多変量解析にかけ、さらに踏み込んだ分析を行う。
(応募要旨の問題と目的より)