音読能力のスコア化と英語学力との相関に関する研究
LET2006年度全国大会ポスターセッション

キーワード: 音読, 音読能力評価ソフト, 熟達度

 近年語学学習全般に効果があると言われているもののひとつに音読がある。音読能力の測定方法は教師やinformantの主観的判断に頼らざるを得ず,評価や点数化について客観的な規準を設定しにくいのが現状である。

 こうした中,学習者の発話をコンピューターに取り込み、その音声がどの程度nativeの発音に近いかを測定しようとするソフトウエアの発達がめざましい。これらのソフトウエアの使用により、単語レベルの発音をデータベースとして持ち、そのデータベースにある発音と学習者の発音がどの程度近いかを数量化して提示することが可能となりつつある。

 まだまだ単語レベルでの判定が限界ではあるが、こうしたソフトウエアを実際に学習者の音読能力の測定に活用することができれば、音読から学習者の熟達度を予測し、授業や指導に役立てることが可能になると思われる。しかし,音読評価ソフトウエアの測定した音読能力と,学習者の熟達度との関係を示す実証的研究に関してはまだ先行研究がほとんどないため,ソフトウエアの評価を学習者の指導にそのまま使用することができると断言することはできない。

 音読の活動では、取り上げるテキストの質(難易度等)が大きく作用するため、現状の英語能力で十分理解可能なテキストを取り上げることとした。

 以上のような視座にもとづき,以下のように実験を実施した。

実験の目的:コンピューターソフトウエアが測定する学習者の音読能力と英語能力との相関を分析する
実験の対象:関東近県の中学生・高校生・大学生(各80名以上)
実験の方法:@ CASECによる被験者の英語能力測定
A SpeakESLによる被験者の音読能力測定と測定結果の数値化
B CASECのスコアと音読能力測定結果の相関分析(学齢ごとの分析およびCASECスコアの上位グループと下位グループの相関) C 使用テキスト:十分な内容理解を前提とした i−1のテキスト(中学生:英検4級,高校生:英検3級,大学生:英検準2級の問題から)

 今回収集したデータを元に,主として学習者の語彙能力およびリーディング能力と音読能力評価ソフトの出した評定との相関がどのようになっているかを考察した。

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